共同訓練その2

私はいろいろと訓練士さんに注意されるのですが、言われたことを出来るようになるのにとても時間がかかりました。
1つ目は怖くてワイズと並んで歩くことが出来なかったのです。
あきさん、ワイズにぴったりついてくださいね、離れるとぶつかりますよ。
などと注意をされるのですが、なかなか直すことが出来ませんでした。
2つ目は叱るのが苦手で、タイミングを逃してしまうことが多くありました。
盲導犬はとても良い子で、叱ることなどないのではと思っていた私でしたが、実際に歩いてみると、褒めることよりも叱ることの方が多いことが解りました。

道路の歩行がある程度出来て来ると、歩行テストが行われました。
訓練士さんは後ろからついて来るだけで、自分で判断して歩きました。
なぜか訓練士さんに声をかけてもらわないと、とても不安になってしまいました。
これで良いのかなあ。
などと思いながら歩きました。

1回目の歩行テストが終わると、交通機関での訓練に入りました。
空いている時間を選んで、訓練をするのですが、かなり緊張して歩きました。
人に聴くのが苦手な私は、バスの行き先などを訪ねるのにとまどってしまうことも多くありました。
でも、少しずつですが慣れて来ました。

卒業が近づいて来ると、名古屋駅の地下街を歩いたり、単独でバスに乗って帰って来ること、喫茶店でコーヒーを飲んで来ることなどのテストがありました。
この頃から、ワイズは私の方を見て歩いてくれるようになりました。
グットグットよしよしなどと褒めると、太い尻尾が揺れているのが解りました。
少しずつだけど、私を見て歩いてくれているのかも知れないと思いました。


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